虫垂ガンはとてもまれな癌で、最近では陸上女子砲丸投げの森千夏さんがこの虫垂ガンにかかり、有志が集まって募金活動をするなど支援してきましたが、36歳という若さでその生涯を閉じました。めったにみられないガンで虫垂炎に似た症状がでます。
虫垂ガンとは
大腸癌の一種の虫垂ガン。腸の中で消化吸収されて残った腸内の容物をためる大腸。余分な水分を吸収して便にする場所です。色々な細きんが多く住む場
所でもあります。長さは約3メートルもあり、結腸、直腸、肛門からなり、大腸粘膜のある場所ではどの部分からでも癌ができます。
肛門奥の直腸とさらに奥の曲がりくねった結腸に大腸は分けられます。結腸は更にS状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸に分かれます。虫垂は盲腸に
付着します。このうち、全体の70~75%を占めるのが直腸とS状結腸にできるポリープやガンです。
日本では症例が少なく、特殊なガンといえる虫垂ガン。腫瘍の判別も困難で、虫垂炎の炎症と診断されて、虫垂ガンと手術で回復して初めてわかる場合が多いガ
ンです。虫垂は存在する場所のせいで抗ガン剤、放射線治療も効きにくいやっかいなガンです。
虫垂ガンの症状
特徴的な症状がない大腸ガン。良性の疾患でもガンと同じような症状が起きます。排便に関する症状が多く、血便・便が細くなる・残便感・腹痛・下痢と
便秘を繰り返すなどです。この症状はS状結腸や直腸のガンに起こりやすい症状です。
一方、肛門から離れた場所に起こる虫垂ガンや盲腸ガン。自覚症状は少なく血便などもきづきづらいのがこの虫垂ガンと盲腸ガンです。初期症状として、腸の内
腔が狭くなるために起こる不屈や腹鳴、腹部の膨満感や痛みがあるしこりなどの症状があります。また、貧血の症状が現れて初めて気づくこともあります。
虫垂ガン
■超音波検査
繰り返しになる部分もありますが、虫垂とは盲腸の内側に開いている太さ5~7ミリ、長さ6~8センチの管状の細長い臓器です。有名なのは簡単な手術
で済む「盲腸炎」と別名を持つ虫垂炎です。虫垂ガンとはこの虫垂にできたガンをいい大腸ガンに属しますが、大腸がんの発生率全体からみるとたった1%にも
満たない非常にまれなガンです。
多くの大腸ガンが肛門から入れる大腸内視鏡検査で診断できるのに対し、虫垂ガンは盲腸の中まで進行して顔を出さない限り、内視鏡でみつけるのは不可能で
す。かなりの大きさに進行しても自覚症状がないため、発見がおくれがちになります。虫垂ガンはゼリー状の粘液をだして広がっていきます。「腹膜偽粘液腫
(ふくまくぎねんえきしゅ)」はガンが虫垂の壁を越えてしまい、この粘液が腹腔内に飛び散った状態をいい、ここまできてしまうと有効な治療法はありませ
ん。
中には虫垂炎に似た症状で脇腹の痛みなどがあり、虫垂炎と診断して開腹手術を行ったところ、実はが虫垂ガンだとわかるケースもあります。何度もみつけづら
いガンだといいましたが、近年では腹部CT検査や腹部超音波検査のめまぐるしい発達により、虫垂ガン(虫垂粘液嚢胞線癌など)を発見することができること
が増えてきました。
しかし、せっかく発見できても大半の症例は手遅れの状態であるのが多いというのが現状です。みつけづらいガンなため不安があるのであれば、腹部超音波検査
を大腸がん治療の経験が豊富な病院で受けてみてください。
■腫瘍マーカー
がん細胞の腫瘍マーカーとは、がんの目印になる特別な物質を調べます。血液中にその物質があるかどうかを調べるため、血液検査で腫瘍マーカーの検査ができます。ただ、ガンではないのに陽性だったり、ガンなのに陰性だったりするのであまり信頼できる検査ではありません。
■治療法
治療法の確立されていない虫垂ガンですが、京都がん協会の医師が臨床医学として虫垂に関する本を出していますし、現在各方面でも様々な研究がなされ
ているようです。現代医学では治療できない虫垂ガンですが、さらなる医学の進歩を願い、虫垂ガンを治療・克服できる日を待ちたいと思います。
PR